
当記事ではMOSのExcelの試験合格を目指すにあたって、実際にExcel 2016のスペシャリスト(一般レベル)とエキスパート(上級レベル)に合格した体験を元に、効率の良い勉強方法をメインに解説を行う。
まず簡潔にMOSについて解説すると、マイクロオフィススペシャリスト(MOS)とはWord、Excel、PowerPointなどのスキルを証明するMicrosoft公式認定の資格。なので「MOS」というのはWordやExcelなどをの資格体系を包含的に表しているものであり、MOSの中にWord・Excel・PowerPointなどの区分がある。さらにWordやExcelなどのバージョン毎(2013・2016等)と試験範囲区分(一般レベルと上級レベル)に分かれている。文字起こしだと良く分からないと思うので公式サイトを参照して頂きたい。資格の失効期限はないが、新しいバージョンの資格へ更新した場合は、その都度そのバージョンの試験を受験する必要がある。
[su_table]資格名称 | Microsoft Office Specialist Excel 2016 / Microsoft Office Specialist Excel 2016 Expert |
公式サイト | https://mos.odyssey-com.co.jp/index.html |
テキスト&問題集 | Specialist |
資格有効期限 | なし |
受験料 | スペシャリスト:10,780円(税込)エキスパート:12,980円(税込)※学割あり |
合格ライン | 公式では「550点~850点の範囲が目安」とあるがスコアレポートでは700点 |
合格率 | 非公開 |
試験形式 | PC上の実技試験(マルチプロジェクトと言われる操作試験) |
試験時間 | 50分(共通) |
合格証書 | スコアレポート・認定証明書 |
※正確な情報は公式サイトを参照すること。
※履歴書への記載方法:https://mos.odyssey-com.co.jp/faq/detail5.html#detail1_7
目次
MOS Excelはどのバージョンを選択するべき?
どのバージョンの試験を選択するべきかについては、普段使用しているオフィスのバージョンと同じものを選択すればいいと思うけど、将来的に普段使っているオフィスのバージョンがアップデートされることも考慮すると最新の試験バージョンを受験した方がよいかもしれない。また対外的に履歴書等に記載することを考えてみると、今はもう2020年なわけで今さら「2013」や「2016」のバージョン名がやや古臭さを感じることは否めない。
ただ、試験勉強をするにあたっては受験するバージョンが異なると若干操作が異なる点があることが懸念として挙げられるが、それほど大きく操作性が変わるわけではないので問題ない。それよりも試験形式が「2016」のバージョンから大きく変わったため、「バージョン2013」のテキストで「バージョン2016」を受験するのはお勧めしない。なのでExcel2013を用いて2016の学習を進めることは可能だが、テキストは2016バージョンを使うことは必須。
ただ、現時点では最新の試験バージョンは「Excel 365&2019」であるがこちらの上位試験にあたる「エキスパート」が2020年7月の時点ではまだ開始されておらず、試験対策にあたっても、「バージョン2016」が教材は豊富にあるため、現状は最新の「Excel 365&2019」を受験しなければいけない理由が特段なければ、「バージョン2016」を選択することをお勧めしたい。
MOS Excel資格学習の環境構築
MOS Excelの試験勉強を進めるにあたっては、まず何よりも「Excel」を入手すること。それにはやはりお金がかかってしまうが、どうしてもお金を払いたくないのであれば、初回の1ヶ月間に限りOfficeを無料で使用することができるので、この1ヶ月間の間にスペシャリストとエキスパートの資格勉強をすべて済ますことができれば、Officeにかかる出費を抑えることができる。会社ではExcelを使うことはあっても、自宅では一切使わないということも十分にあるというか、そのようなケースの方が多いかもしれず、滅多に使わないアプリケーションの購入を躊躇う気持ちもよく分かる。このような場合は1ヶ月間の無料期間の内に使い倒して資格取得まで持っていくのが理想だけど、スペシャリストとエキスパートを受験した経験から言わせてもらうと、1ヶ月間では両方の資格を取得するのはかなり厳しい。これだけに時間を割くことができるのであれば余裕だけれども。なので最初は1ヶ月間の無料期間を使い、その後は1ヶ月単位のサブスクリプションを契約し、試験に合格したら契約を解除することをお勧めする。
マイクロソフトofficeを自宅でも使うヘビーユーザーであれば月単位ではなくて年単位での契約がお得ではあるが、こういったサブスクリプションをいくつも契約していると、総合的に固定費が高くなってしまうので、前払いの1回払いで済ませられるのであれば、デメリットもほぼないので検討しておきたい。要はよほどそのツールを日常的に使うのでなければサブスクにする必要はないということ。
1つ懸念点としては、個人的な使い勝手の記憶を辿るとOfficeの仕様としてインストール時の設定がOfficeの環境設定となるようで、例えばExcel単体をインストールした場合、Wordなどが使えなくなる事象があったような気がした。Amazonのレビューにもそのようなレビュー内容があるので、注意して頂きたい。
[su_quote]・Microsoft Excel 2019(最新 永続版)|オンラインコード|Windows10/mac対応|PC2台 レビューExcelのみ2019の機能に魅力を感じ、単体でオンラインコードで購入しました。Office2013 Home&BusinessのライセンスのあるPCにExcel2019をインストールした所、Office2013をアンインストールして下さいとのメッセージ。。。Excel2019をインストールすると、Word、Outlook等が使えない状態になってしまいました・・・・知らなかったです。常識的な事なのでしょうか、、、、知らなかったので、お金を無駄にしてしまいました。一度オンラインコードで購入すると返品は出来ないようです。[/su_quote]
MOS Excel 2016の難易度と勉強方法のコツ【独学で十分】
勉強時間 | 難易度 | |
Excel スペシャリスト | 60時間 | 易しい |
Excel エキスパート | 80時間 | やや難しい(ITパスポートよりもやや上) |
まず初めに簡潔に結論を言うと、難易度に関してはMOS Excel 2016 スペシャリストは平易な問題でかなり易しい。MOS Excel 2016 エキスパートは想像以上に難しいと試験中に感じると思う。試験対策のシュミレーション問題を5周解いてギリギリ受かるレベル。勉強方法は最小限の教材で済ますのであれば、FOM出版のテキストを模擬問題を繰り返す解くことで合格することが可能。というのもこのMOSの資格はどの資格よりも、テキストからスクールまで様々な教材が売られているけど、ぶっちゃけそんな大層な資格ではないので、市販のFOM出版のテキストをスペシャリストとエキスパートでそれぞれ1冊ずつ揃えれば十分。合格するまでにかかる勉強時間に関しては、個々人のバックグラウンドや普段Excelをどの程度使っているかによるが、私のケースでいえば、スペシャリストは60時間程度でエキスパートは80時間程度だったかと思う。
では詳細な解説に移っていくけど、まず「勉強方法」から解説したい。というのもこのMOSの試験形式は特殊であり、通常の試験とは異なりマークシートなどの選択式ではなく、PC上で実際の操作を行うことになり、その操作に慣れる必要があるから。この実際の試験形式と同様の環境で学習を進めることができるのがFOM出版のテキストなので、テキスト選びとしての選択肢としてはこれ一択だと思う。FOM出版のテキストでは実際の試験形式をシュミレートして学習を進めることができるが、予めPCにExcelがインストールされている必要がある。ちなみにExcelの最新バージョンでは、私が受験したExcel2016のバージョンは問題なく動作可能だった。
もちろんFOM出版のテキスト以外の教材を使って対策をすることも勧めないわけではないけど、最小のコストで済ますのであれば、このテキスト以外は不要だと思う。ただExcel自体にこれまで触ったことがほとんどなく、パソコンの操作にも慣れていない初心者であればMOS資格の対策スクールに通ってもいいかと思う。FOM出版のテキストの悪いところは、試験に合格するためだけに割り切って解説がされているため(くどい程に丁寧すぎるほど)、「なんのためにこの操作をしているのか」の説明が手薄く、もしかしたらITのスキルがほとんどない人であれば、このFOMテキストだと挫折するかもしれない。とにかく全ての操作手順が記載されているだけであり、読み進めるのに苦痛さえ感じる。
分からない箇所や、もっと深堀りして学習したい場合はググるスキルが必要になるが、ググることすらできない人だと、このFOMテキストのみで独学で学習を進めるのは難しいかもしれない。
このように自己解決できない人はスクールに通った方がいいかと思うが、独学可能でさらにテキストに補足して学習を強化するのであれば動画を活用したい。下記、Udemyで提供されている動画は私は視聴してはいないが、MOSの試験対策としての教材となっているため、よりMOS対策を万全にしたいのであれば受講してもよいかもしれない。
▼Excel MOS 対策動画 -Udemy
≫ MOS試験Excel対策オンライン講座【2013スペシャリスト】エクセル兄さんのスピードMOS対策・合格コース
≫ Excelエキスパート認定への道【MOS資格エキスパート試験対策オンライン講座】エクセル兄さんのスピードMOS合格コース
次にどのように学習を進めていけばいいのかを、以下に箇条書きに詳細に解説した(スペシャリスト・エキスパート共に同様)。「問題を解く」というのはテキストに付属している模擬問題の全てを指す(1回分のことではない)。
- 1回目:テキストを流し読みする(問題は解かない)
- 2回目:解答を先に表示させて問題を解く
- 3回目:同様
- 4回目:同様
- 5回目:少し最初に考えて問題を解く(この段階で5割程度、自力で解答を出せる)
- 6回目:少し最初に考えて問題を解く(この段階で8割程度、自力で解答を出せる)
よく「まず最初に自分で考えることをしないと、自分で考えることができなくなってしまう」という人がいるけど、そういうことを言う人は、そのようなことをどこかから聞いて何も考えずに受け売りで言っているだけで、真に受けてはいけない。この試験に限らず、正しい勉強の方法は「まず何も考えずに正解を見ること」。もっと補足すると「正解をそのまま暗記すること」自分で考える必要はない。ましてや、これたんなる資格試験ですよ。「正解」があるんですよ。その「正解」を記憶するだけでいい。
特にこの試験に関して重要なことをいうと、自己流で最初に模擬試験を解き始めると、間違った方法の記憶が定着してしまう恐れがあるため、最初から最後まで、問題を解くにあたって悩む時間は不要。なぜならその悩んでいる時間に、その間違った手順が記憶として定着してしまうため。要はまとめると、最初から回答をみて、その手順通りに操作して、正解の手順を記憶する。はい、これがこの資格に合格するための最小努力です。
6回目が完了した段階で試験に臨んだ場合、スペシャリストはまず合格できるが、エキスパートはギリギリか落ちる可能性の方が高い。スペシャリストの試験のノリでエキスパートを受けると、試験中かなり焦ることになるだろう。私の場合は700点ギリギリであったため、たまたま合格することができたけど、もう少し深く学習を進めた方が安全であると感じた。
ではここから先は、どのように学習を掘り下げていくべきかであるが、「苦手な関数」を重点的に学習すること。「こんな関数でないだろ」とさらっと流して学習を進める人が多いかもしれないけど、普通に出る。確かに、キューブ関数を捨てても合格することは可能だし、現に自身の場合もキューブ関数は理解せずに合格することかできた。ただ、この考えは極めて危険だということが試験中に身にしみて感じた。テキストに記載されている全ての関数を完璧に理解することは難しいにしても、テキストの模擬問題に出題された関数の使い方は7割か8割くらいはしっかりと理解しておいた方がいい。問題を解いていくと本番の際に注意しておきたい点がいくつも出てくるはずなので、その都度テキストの該当箇所に書き込みを入れていく。また、テキストの最後の方にまっさらなページがあるので、そこに注意点をまとめていくと後で見返しやすい。
MOS Excel 2016の関数はどの程度対策をするべき?また試験に出題されるのか?
先にも書いたけど、テキストの模擬問題から出題されている関数の7割か8割ほどは確実に押さえておきたい。もう少し補足すると、基本的な関数の出題頻度は高いのでそれらは100%に近いほどマスターした上で、普段使わないであろう財務関数やキューブ関数などは7割か8割は押さえたいということ。
MOS Excel対策ではないが、さらにExcelスキルを伸ばすための書籍
まあ、ここまでつらつら長文を書いてきてこういうこと言うのもなんだけど、本心を言えばこの資格を取得したからといって劇的にスキルは上がらないと思う。確かにExcelの基礎的なことは身につくかもしれないけど、それでも回りくどい操作を身に着けることで逆に非効率なスキルを習得しまったりとデメリットもあったりする。それにExcelの基礎的なといっても中には、一生使わないかもしれない関数まで問題に出たりで、なんだろ、一言で言えば「学校のお勉強」みたいな内容の試験。だから、こういうことあんま書かない方がいいのかもだけど、実務的なスキルはこの試験を通してあげるのは難しいのではないか。さらにぶっちゃけると、この資格に限らず資格自体、別に取得しても意味ないに近しいと思うし、Excelを使った業務をしていきたいのであれば、そこから実務を通して自身で創意工夫して学んでいく姿勢がなければ、Excelの本当のスキルは上がっていかないと思う。
スキルというのは、すでに正解があれば0から自身で理論を構築していくのは非効率なので先人達というかまだ生きてるんだけど、Excelの達人が実務的なExcelの習得にあたり、著者の経験をまとめた書籍が多くあるので、先にそれらの書籍をインストールしながら学んでいくのがよいかと思う。
下記、2冊のExcel本は私自身も読んだ上で非常に推薦できる書籍。この2冊だけでも内容を深く理解すればかなりのExcelマスターになれるだろう。というか自身もまだまだ数回読んだだけであるけど、これからも読み込んでいきたいと思えるほどの内容。MOSに合格したあとにまた読み返すと、違った視点で気づきが得られるだろうし、手元に置いて定期的に読み返していきたい。
Excel最強の教科書[完全版]
本書は著者の長年に渡る業務から得られたExcelの運用ルールを1冊のまとまった形で吸収できる良書。実務的な内容ですぐに実務に反映できるため極めて実用的な1冊となっている。というのも世の中にはExcelを解説した書籍は数多くあるが、Excelの機能の1つ1つを実務から切り離して解説したものであったりするため、構成としてはこのMOSのテキストに近い内容が多い。それだとExcelを実務で使い込んでいくための指南書としては適しているとは言い難くなる。本書はExcelを業務で使うためのノウハウ・テクニックを存分に詰め込んでいるため、正直MOSのテキストよりもずっと役に立つだろう。チャプター7からは「データ分析」について扱っており、データをExcelで分析する基本的な分析手法などが解説されており、Excelを活用して業務の改善を図るための一歩先のスキルを身に着けることが可能になっている。
このように1回通読しただけではとても消化しきれない程の濃い内容となっていて、たった1,700円程度の価格で著者のExcelのノウハウをインストールできることを考えればかなりお得だといえる。高額なExcelのセミナーに参加するよりも本書を繰り返し繰り返し読む方が、身になるスキルが習得できるのではないか。
たった1日で即戦力になるExcelの教科書[補強完全版]
Excelを使いこなすための基本的なExcelの思想から学ぶことができる良書。正直なところMOSの学習を進めていても、学習を進めれば進めるほど機械的な資格取得のための学習となり、試験で回答を導くための操作手順を覚えていくだけで終始しがちになる。MOSの資格学習を通して感じたことしては、もっと大切なことがあるのに「操作」とか「関数」とか断片的な知識を問うだけで、実務的なスキルはこのMOS試験学習を通しては身に着けることは難しいと感じた。なのでMOSはMOSで良いところはあるのだけれど、この資格だけでは不十分。その不十分な分野である、もっとExcelを扱う上での土台となる思想を学ぶ必要がある。これは独学で0から身に着けようとすると、時間のロスであるし、Excelを間違った癖で習得してしまう危険性もあるので、正しいExcelの使い方を初歩の段階から身に着ける必要がある。