※試験について2022年10月からの変更点
ソフトウェアテスト技術者資格認定組織(JSTQB)は、CBT による認定試験を 2022 年 10 月 3 日(月)より開始いたします
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000019.000054604.html
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JSTQB認定テスト技術者資格とは、国内で唯一のソフトウェアテストの知識を図る資格試験。JSTQB(Japan Software Testing Qualifications Board)の位置づけとしては、ソフトウェアテストの国際的な団体であるISTQBの加盟団体として日本語版のシラバスの作成及び試験内容の作成を行う組織がJSTQBである。
私自身は当団体とは一切関係がなく、いち資格受験者として当試験について調べた内容を分かりやすく解説を行うことが記事執筆の目的である。というのも公式サイトをみても資格体系が分かりにくく、どこから手を付けて、どのように学習を進めていけばよいのかも分かりづらいため。資格取得が多くの受験者にとってみれば目的であろうが、資格取得以外の情報が公式サイト上にあまりにも多く、情報の整理が付きにくいと感じる。
はじめに簡単に資格の基本情報をまとめておくと、JSTQB認定テスト技術者資格にはいくつかの試験が実施されているが、登竜門となっているのがFoundation Level試験となっており、まずはこの試験を受験することになる。公認書籍も出版されているため、他に提供されている試験と比べても学習はしやすい。テキストは「シラバス2018対応」となっているが、最新のシラバスが2018であり2021は存在しないため下記テキストが現時点で最新のテキストとなる。
また過去に当試験を受験し合格しているため、資格体系と共に学習の進め方や当資格の取得メリットなども解説していく。
Contents
JSTQB認定テスト技術者資格の資格体系・参考書
JSTQBの資格体系が分かりにくい理由として挙げられるのは、ISTQBが資格体系として設置している資格がまだ国内では受験不可なものがある点と、そもそも、その資格体系が公式サイトを見ても分かりにくい。以下、資格体系をシラバスから引用するが、10年前に定義された資格制度の図解であるが、現時点で実施されていない資格が含まれているなど、どの資格が受験可能なのかも分かりにくい。
画像引用:Advanced Level シラバス 日本語版 概要 Version 2012.J01 1.7 最新の維持
求められるスキルや役割からExpert・Advanced・Foundationとレベルが区分されているが、実際には、また国内では提供されていない試験も多く新たに提供が始まった試験もあり全体像が分かりにくくなっている。そこで当記事では主要な試験とその試験が国内で実施されているかをまとめた表を作成したので参考にして頂きたい。
またFoundationレベルにおいては、またここが分かりにくい表現であるが「アドオン」?または「Extension」という形でFoundation Level資格とは別に、専門領域に特化された試験も用意されている。こちらも国内で受験可能なものや受験不可な試験が混同されており、公式サイトにも最新の情報で更新されてないように見受けられるため、こちらも合わせて整理を行った。
試験 FAQ
試験開催スケジュール
また、試験実施パートナーである一般財団法人日本科学技術連盟から配信されているSQiPメールニュースに登録することにより、開催が決まり次第メールで通知がくるため、開催日を確認するために公式サイトを都度開くよりも確実だろう。
≫ SQiPメールニュース > メールマガジン登録
開催場所
過去実績を見ると「札幌、東京、名古屋、大阪、福岡、那覇」で開催される可能性が高いようだ。またAdvanced Levelにおいても公式サイトには東京・大阪以外での開催は予定していないと記載があるが21年8月実施に関してはFoundation Level試験と同様のエリアで開催となる。
試験の申し込み
現在、第32 回 JSTQB認定テスト技術者資格 Foundation Level試験の申し込みと、第7回 JSTQB認定テスト技術者資格 Advanced Level 試験 テストアナリストの申し込みを受付けている。試験の実施については一般財団法人日本科学技術連盟より実施されており、申込みサイトはJSTQBの公式サイトとは異なり別サイトからの申込みとなる。
≫ JSTQB認定テスト技術者資格 Foundation Level試験 申し込み
開催日:2022年2月12日(土) 15:00~16:00
申込期間:2021年10月14日(木)15:00~11月30日(火)15:00
≫ JSTQB認定テスト技術者資格 Advanced Level 試験 テストアナリスト 申し込み
開催日:2022年2月12日(土) 10:30~12:30
申込期間:2021年10月14日(木)15:00~11月16日(火)15:00
参考:JSTQB認定テスト技術者資格試験実施要領 > 受験申込み
合否通知日
試験実施日から3ヶ月程度
※現時点で最新の情報をまとめていくが、最新の試験提供情報については必ず公式サイトにてご確認頂きたい。
JSTQB認定テスト技術者資格 公式サイト:http://jstqb.jp/index.html
Foundationレベル
資格名称 | 略記 | 試験実施 | 参考書有無 |
Foundation Level 認定資格 | FL | ◯ | ◯ |
アジャイルテスト担当者 | 不明 | ✕ | ✕ |
自動車ソフトウェアテスト担当者 | 不明 | ◯ | ✕ |
公式テキスト | ソフトウェアテスト教科書 JSTQB Foundation 第4版 シラバス2018対応 |
資格有効期限 | なし |
受験資格 | Foundation Levelは特になし 参考:FAQ > 受験の前提資格について |
受験料 | 22,000円(税込) |
合格ライン | FAQには、ISTQBの「ISTQB Exam Information」に従うとの明記有り |
合格率 | 試験実施データ |
試験方法 | 試験会場にて実施 |
試験形式 | 複数の選択肢から正解を選ぶタイプ Foundation Level:40問出題 |
試験時間 | Foundation Levelは60分 |
合格証書 | 紙の合格認定証 |
JSTQB認定テスト技術者資格 Foundation Level試験 実施データ
Advancedレベル
資格名称 | 略記 | 試験実施 | 参考書有無 |
Test Manager(テストマネージャー) | TM | ◯ | ✕ |
Test Analyst(テストアナリスト) | TA | ◯ | ✕ |
Technical Test Analyst(テクニカルテストアナリスト) | TTA | ✕ | ✕ |
テスト自動化エンジニア | 不明 | ✕ | ✕ |
公式テキスト | 市販テキストは存在しないため、シラバスで対応すること |
資格有効期限 | なし |
受験資格 | 1.JSTQB認定テスト技術者資格 Foundation Level資格試験の合格者、JSTQB(日本)以外のFoundation Level資格試験の合格者 2.業務経験3年以上(業務経歴申請書の提出あり)参考:FAQ > ALの受験資格の業務経歴について |
受験料 | 22,000円(税込) |
合格ライン | FAQには、ISTQBの「ISTQB Exam Information」に従うとの明記有り |
合格率 | 試験実施データ |
試験方法 | 試験会場にて実施 |
試験形式 | 複数の選択肢から正解を選ぶタイプ テストマネージャ:65問出題 テストアナリスト:60問出題 |
試験時間 | Advanced Levelは180分 |
合格証書 | 紙の合格認定証 |
また、テストマネージャー・テストアナリスト・テクニカルテストアナリストの3つの資格をすべて取得することにより、下記の称号が与えられる。
「Full Advanced Level Professional:テスト技術者資格 Advanced Level 完全上級テスト技術者」
Advanced Levelの参考動画
Advanced Level試験の解説動画や資料は下記ページを参照。
≫ イベント > 資料掲載
JSTQB認定テスト技術者資格 Advanced Level(TA)試験 実施データ
JSTQB認定テスト技術者資格 Advanced Level(TM)試験 実施データ
Expertレベル
※現状提供されていないため受験不可
JSTQB認定テスト技術者資格 Foundation Levelの難易度と勉強方法
シラバスを読み込むか、Foundation Levelであれば公式テキストを使うかの2選択になるかであるが、私自身はシラバスは一切読まずに公式テキストのみを活用し合格することができた。シラバスは味気なさすぎなので、テキストを活用することをお勧めしたい。勉強時間は70~100時間くらい費やしたかもしれず、1回落ちたのでそれ以上の時間をかけたかもしれない。理解が曖昧だと普通に落ちるのでよく対策した方がよいかと思う。記憶が曖昧だが、テキストを5往復は読んだ記憶がある。
難易度についてもう少し詳しくいうと、1回落ちたということもありFoundation Levelでも簡単ではない。仮に仮に実務経験が長くあったとしても無勉では普通に落ちるレベル。基本情報技術者試験よりかはずっと簡単だけどもITパスポートよりかは少し難しいといったところ。とはいってもITパスポートと違って試験範囲が絞られているため、必然的に内容が高度になる。
「ソフトウェアテスト」の教科書といえるおすすめの書籍はこちら。iPhone・Androidに対応したアプリもあるようなので、併せて活用することで合格確率がUPすると思うので、スキマ時間などに利用したい。
≫ JSTQB試験(FL) 完全攻略 テスト技術者の友【テス友】~Android~
資格対策に囚われずソフトウェアテストについて学びたいのであればUdemyで学ぶ方法もあるけど、ソフトウェアテスト技法は業界で統一された方法で実施すべきで、人それぞれ自由に思い込みの手法でテストを実施されると、エラーが多発するのでどの教材で学ぶのかは良く選定した方が良い。
≫ はじめてのソフトウェアテスト技法【全てのエンジニアが知るべき最重要テスト技法を、丁寧な解説と演習問題で身につけよう】-Udemy
≫ 2時間で学ぶ!ソフトウェアテスト設計講座(機能テスト編)~効率的に”もれ”の無いテスト設計手法を習得~ -Udemy
JSTQB認定テスト技術者資格取得のメリット
なんでも実務経験に勝るものはないと思うけど、ソフトウェアテスト技法については属人的なやり方というのが害悪ともなりえるため、業界統一のソフトウェアテスト技法についての理解を深めらる当JSTQB認定テスト技術者資格は大いに役に立つと思う。一言でいえば、間違った方法でテストを実施されても、テスト事項の抜けがある時点でテストした意味は全くなくなるから。ソフトウェアテストは抜けもれなくテストを実施することが最重要であるわけで、テストを実施したことによる個人的な嗜好に基いた付加価値というのはソフトウェアテストには存在しない。
ソフトウェアテスト業界の将来性
手動で行うソフトウェアテストは将来的にも永劫的に需要があると想定できる。また、テストの自動化については、自動化できる箇所もあるにせよ最終的に製品は人が操作するため、人の手を介してのテストはなくならない。またデジタル化の流れは加速する一方であり、それと併せてソフトウェアテストは必須工程のため案件が減少することは考えにくい。なのでテストエンジニアを目指すことは何の不安要素はないと考えるが、将来的に目指すものが開発エンジニアであるのであれば、テスターと呼ばれる工程を少なくとも経験することも必須ではないと思う。
というのも例えばSES業界に新卒入社した場合、もちろん開発経験がないので必然的にテスター案件に放り込まれる人達が多くいるから。この場合、本人がテストエンジニアとしてのキャリアを望まなければ、テスターとしての実務経験はあまり身のあるものとならない。なぜなら、開発工程に携わる上でテスト工程のスキルは不要だから。なのでキャリアパスをテスト工程から開発工程へと繋げて考えているのであれば、無駄な時間となりうる可能性が高くなるので、テストエンジニアを目指していないのであれば、方向性を考えた方がいいと思う。
要は開発エンジニアを目指す場合は、テスター業務を一時的に捉えた方がよく、長く居座っても良いことはない。ただその場合でも「JSTQB認定テスト技術者資格 Foundation Level」の知識レベルは習得しておき正しいソフトウェアテスト技法を身に着けた方がいい。
ソフトウェアテスト業界を賢く生き抜くための知恵
まずソフトウェアテストはテストだけあって、第三者に委託する類のものであるという認識が重要。なぜ第三者に委託するのかといえば、内部でテストを実施するよりも第三者の視点からテストを実施した方が、よりエンドユーザーに近い視点に近づくため、内部とは異なる視点と離れて客観的に品質テストを遂行できるから。
なので案件単位で発注先の企業に常駐して動くことになるけど、この際にSES企業の正社員で稼働することにメリットは少ないというのが正直な見解。というのもSES企業に限らず派遣会社もそうだけど、ピンハネで成り立っているから。であれば、中抜きされる額が少なくなる派遣として働く方が給与は圧倒的に高くなるので、わざわざSES企業に属して少ない手取り額で働く必要性はほとんどない。
SES企業の正社員で働く1番のデメリットはたとえあなたの単価が高くなったとしても給与はたいして上がることがない点。たとえばテスターであっても高単価な案件は珍しくなく、60万/月以上の報酬が発生したとしても、SES企業の正社員であれば手取り額は20万を切ることになる。さらにそのSES企業がソフトウェアテストを肯定的に見ていない場合、テスターだからといって評価を下げる理由としても使われる可能性がある。
そもそも第三者視点が必要になるテスト工程は、大規模なプロジェクトになるほど外部に委託することが多い。なので発注側は優秀なテストエンジニアに対しては高報酬を出しているのだけど、SES業界の末端で働く作業者はこの発注額を知らないことが多い。SES企業で働く社員の給与を少なくし人売り構造で利益を出す仕組みの手助けをしていることで得られるメリットはほぼなく、デメリットしかない。正当な報酬を得るのはその現場で働いてる人であるはずで、それは人売りのSES企業ではない。
テスト・品質案件はこれからも需要が高まる市場であるし、テストエンジニアとしてのスキルを高めるのであれば数多くの現場を経験してなんぼだと思うので、その働く土壌がしっかりしているテスト業界の将来的な伸びしろと、案件数の紹介さえあれば、派遣であっても不安要素はないと思うので、SES企業の正社員として働くメリットはないと思う。