2023年最新のGoogleアナリティクス4(以降GA4)の書籍レビューを当記事でまとめていく。以前のユニバーサルアナリティクスの書籍レビューに関しては別記事を参考。
とはいいつつ、ユニバーサルアナリティクスのサポート終了日が決定し、実質的に使えなくなるので今からアナリティクスを学習するのであればGA4から学習を進めた方がよいと思うし、過去のアナリティクスについては学ぶ必要はないと思う。
GA4の書籍の出版状況は現時点で6冊で全てとなっている。それぞれの書評レビューは随時残していくが、この記事にたどり着いたユーザーはおそらくGA4を学ぶ上で最初の1冊は何がよいのかで迷っている人が多いと思われるので、まずそれらの人向けに独断と偏見で書籍を提示したい。
GA4を学ぶ上で最初の1冊でお勧めなのは、『いちばんやさしいGoogleアナリティクス4の教本』もしくは、『Googleアナリティクス4のやさしい教科書。』。前書はGA4の習得にあたり必要最低限の情報を過不足なくコンパクトにまとめられているため、一通り読み通すだけでGA4の基本的な概念を理解することができる。後書の書籍は個々の操作手順よりも、分析する上での考え方を解説しているため学びが大きくGA4の操作を覚えたあとの分析手法まで抑えることができる。より詳細な設定や仕様を理解したいのであれば『プロが教えるいちばん詳しいGoogleアナリティクス4』をお勧めする。
あとは最近出版された『できる逆引き Googleアナリティクス4 成果を生み出す分析・改善ワザ 192』は手元に置いておきたい。
書籍と同時にGA4の公式のヘルプページも読むことをお勧めする。
≫ 次世代の Google アナリティクスのご紹介 -アナリティクスヘルプ
【最新順】GA4本のレビュー
『できる逆引き Googleアナリティクス4 成果を生み出す分析・改善ワザ 192』
GA4はユニバーサル・アナリティクスと全く異なるツールとして生まれ変わり、役割範囲もより限定的になったといえる。そのためユニバーサル・アナリティクスと同様の認識のもとGA4を扱うと大きく期待が外れると思うし、そのような期待感からするとGA4のイメージはユニバーサル・アナリティクスよりも操作性が悪くなり、できることも少なくなったと捉えられるかもしれない。このような誤解が生じる原因は、そもそもGA4はGA4だけで完結できるようなツールとして作られていないことをまず認識することでGA4に対する正しい向き合い方ができるであろう。
本書はこのようなGA4の根底にある設計思想を重点的に学べる内容となっており、それに伴い「活用ノウハウ」よりも「導入・設定」に重きを置いた構成になっている。実際に638ページあるうちの404ページが「設定」に関するものであり、その多くがGA4の理解に必要不可欠なものばかりである。逆にいえば、GA4の基本理解なしにその先にある「分析・改善」が覚束なくなるため、本書で確実にGA4の設計思想を理解しておいた方がよいだろう。
正直、本書の前半部分は読んでいてダルくなってくる。必ずしも全てが必要な設定項目ではないというのもあるが、「分析・改善」に期待を持ちすぎるとある種期待外れ感も感じるかもしれない。本書の後半部分は「活用ノウハウ」に踏み込んだ内容となるが、それでも紙面の限界もあるかと思うが、多くの示唆に富む「活用ノウハウ」というインパクトまでは感じられなかった。そのため、従来のユニバーサル・アナリティクスではそれ単体で「分析・改善」までが完結でき、その解説書である本書の前書である「できる逆引き」も「活用ノウハウ」まで一気通貫してまとまりのある形で紙面に掲載することができたのだろう。対してGA4ではそれ単体で完結するものではなく、「分析・改善」はLookerStudioやBigQueryにバトンタッチして担当分野を切り離しているため、「活用ノウハウ」まで十分に踏み込もうとすれば、LookerStudioとBigQueryに関する多くの紙面が必要になってくる。
実際の現場においても、私個人的にはGA4の「探索」機能は単なるオマケ程度に付いている機能だと思っているし、GA4で作成したレポートを恒常的な共有レポートとして活用はしていない。実務的な「分析・改善」のメイン担当はLookerStudioとBigQueryを使うことが多い。「探索」機能はあくまでもその場限りのアドホック的な調査目的で使うことが多く、その目的から大きく外れて、分析用としてまた共有レポートとしてメイン機能として使うのはGA4の設計思想からしてみてもそぐわないと私は感じている。
総じていえば、生まれ変わったGA4の設計思想を学ぶ上では本書は最適であり、かつLookerStudioとBigQueryと連携させ「分析・改善」までつなげていく上で知識の土台固めとして有益な情報が得られるだろう。
試験対策用の講座もある
≫ GA4に関する知識を証明する!「Google アナリティクス認定資格」試験対策講座
『「やりたいこと」からパッと引ける Googleアナリティクス4 設定・分析のすべてがわかる本』小川卓
本書のターゲットはどちらかというと初心者向けというよりも、ある程度GA4を理解している中級者以上のユーザーが対象になっているように感じた。GA4の書籍は4冊出ている中で既に初心者にとって理解しやすい書籍は出ているし、それと比較しても本書が知識0からGA4を学ぶ上で理解しやすい内容かと言われるとそうでもない。画面のキャプチャは多く掲載されているが、読みにくい文体と共に主に各機能やレポートの解説が続くので、整理をつけながら要点を抑えて読み進めるのは初心者にとっては難しいと感じた。GA4の全ての機能を実際に使うわけでもないし、はじめの段階で理解しておく必要もないため、本書のような基礎から応用まで満遍なく解説がされている構成は中級者以上にとっては、どこが重要でタイトルにもあるように「やりたいことからパッと引ける」のだが、初心者には消化不良になりえる。
他書籍と大きく違い、本書の最も価値がある点としては、実際にGA4を活用する上での実装・設定に関しての記載が多くあること。よくあるのが設定してみたものの、それが間違いないものなのかは念のためネット上にある記事を参考にするケースがあり、それはそれで参考になるがネットとは別に書籍も手引書として活用することが多い。そのための役割として本書は多くの設定例が掲載されているため、今後も読み返すことは多くなるかとは思う。
探索レポートに関しては、定期的にみるレポートとして設定例が解説されているが、実際定期的に確認するレポートとしては現状GA4の探索サポートは見やすいとはいえずレポートとしての用途としては不向きだといえる。そのようなレポートはビジュアル的にも優れているLooker Studio (旧称データポータル) で作成するべきで、探索は文字通りアドホック的に分析を行うツールとしての活用をお勧めする。とはいえLooker StudioでGA4の表現全てをサポートしていないため目標到達レポートや経路データ探索、コホート分析などはGA4で作成してレポートとして共有することにはなるかと思う。
いちばんやさしいGoogleアナリティクス4の教本 人気講師が教える行動計測とユーザー理解の基本
プロが教える いちばん詳しいGoogle アナリティクス 4
Googleアナリティクス4のやさしい教科書。手を動かしながら学ぶアクセス解析の基本と実践ポイント
本書でGA4を取り扱った解説本は2冊目となる。まだまだGA4自体が未完成であり黎明期の中、このような最新の仕様をキャッチアップしつつ書籍としても学習できる環境に感謝したい。というのも本書を読んで、GA4の仕様について知りえたことが多く、驚きもあった。
本書の特徴の一つは単純にGA4の機能全てを取り扱った解説本ではなく、価値の高いアウトプットを出すための分析手法を同時に学べる内容となっている。これはGA4を習得するためのマイナス要素になる点ではなく、むしろ反対でGA4をより高いレベルで使いこなすための著者の知見をベースにした構成となっており、結果的にGA4を使いこなすための近道であるといえる。
このようにGA4の手順解説書よりも、具体的な事例を用いてケーススタディ形式となっているため、初心者にとってもGA4を活用した具体的なイメージが湧きやすいのではないか。
そのため、単なる仕様解説本であれば最新の公式ヘルプにあたる方が安全であるため、書籍としての価値は減少していくものであるが、本書は「手順」そのものに重点を置いておらず、分析するための考え方が得られる内容であり、1回限りではなく繰り返し読みたくなる内容となっている。
1週間でGoogleアナリティクス4の基礎が学べる本
本書はこれからGA4を習得しようとしている全ての人にとって最適な1冊となっている。というのもまだ誰しも手探りの状態でGA4の理解を進めている段階であるため、GA4の入門書である本書は必読といえるだろう。
488ページもあり、丁寧にGA4の設定段階から解説がされているため、これまでのアナリティクスを触ったことがないユーザーであっても導入に関して躓くことはないかと思う。あと本書を今読んでおくべき理由の1つとして、GA4も他のGoogleのツールと同様に頻繁にUIが変更されていくことが予想されるため、実際の管理画面と相違がない状態である今が、本書と管理画面を照らし合わせて操作になれておくベストなタイミングである。
本書を一通り読んだ上での感想としては、思っていたよりも難しそうではなさそうだなぁといった印象を受けた。むしろ操作になれたらGA4の方が使い勝手がよく、実現したいデータ分析を素早く行えるのではないかといったワクワクした気分になった。
【最新順】Kindle GA4書籍
Kindleで個人出版?されているものを見つけたので紹介する。