動画アクションキャンペーン及びTrueViewアクション広告の正確なコンバージョン測定方法について解説する。動画アクションキャンペーンはTrueViewアクションのアップグレード版の位置付けであるため、以降「動画アクションキャンペーン」の名称で統一する。
当記事では認知目的ではなくコンバージョン獲得目的として動画広告を配信した際の効果測定について述べたものである。そのため認知のための配信では異なる指標を参照した方がよいということを最初に断っておく。
というのも、なぜこのような記事を書くのかといえば、まず「動画アクションキャンペーンとは」のような記事は多くあるが効果測定について解説した記事がなく、またGoogleが公表しているものをそのままCV計測指標として扱ってしまうと誤った判断になりうる危険性があるため。
広告代理店に動画アクションキャンペーン(TrueViewアクション広告)の効果測定について、疑問を投げかけたとしても当記事で解説している内容はまず返答をもらえないと思うため、わざわざ解説することにした。
≫ 動画アクション キャンペーンについて -Google広告ヘルプ
エンゲージメントビューコンバージョンは効果測定のための指標として適切か
まず動画アクションキャンペーンではどのようなケースでコンバージョンが計測されるのかをまとめると、エンゲージメントとクリックがトリガーとなる以下2パターンとなる。(※デフォルトの計測方法の場合)
- 10秒以上視聴(3日間以内)→ CV
- クリック(30日間以内)→ CV
つまり動画アクションキャンペーンではコンバージョンのカウントにエンゲージメントビューも採用されているため、コンバージョンとしてカウントされるハードルが低く設定されている。
YouTubeの利用者は非常に多いため、CVアクションを起こす前にYouTube広告を目にするケースは容易に想像でき、仮にそのYouTube広告を目にしなかったとしてもコンバージョンする可能性は非常に高いことが想定できる。そのため、エンゲージメントビューコンバージョンをそのままコンバージョンとしてカウントしていいものなのか疑問を抱かなければならないと思うし、結論をいえば「エンゲージメントビューコンバージョン」は指標として全く参考にしてはならないと私は考える。
では、どの指標をコンバージョンの効果測定として参考にすればよいのか?
≫ Google 広告 ヘルプ -関連リンク-
・TrueViewアクション広告のアトリビューションを改善 -Google広告ヘルプ
・エンゲージビューコンバージョンについて -Google広告ヘルプ
検証用としてTrueViewアクションキャンペーンのGoogle広告の管理画面上の配信実績は以下の通り。
コンバージョンの効果測定はクリックベースで計測する
結論を最初に述べると、Googleアナリティクスでクリックにおけるラスト評価を採用する(そのためGoogle広告とアナリティクスの連携を済ましておく必要がある)。その次に見るべき指標は同じくクリックによるアシスト貢献度を確認する。これらの指標を検索広告・ディスプレイ広告と比較することで動画アクションキャンペーンが本当にコンバージョン獲得に貢献しているのかが判断可能になる。その理由について以下で解説する。
エンゲージメントビューでは上述したようにYouTube広告を視聴しなくともコンバージョンした可能性が高いケースが多く含まれるため、単なる10秒視聴よりもハードルが高いクリックを採用する。
検証の基本は比較することであるため、検索広告やディスプレイ広告と同じ条件であるクリックベースで比較することで、真に動画アクションキャンペーンがコンバージョン獲得に貢献しているのかが判断が可能になる。
アナリティクスで確認するレポートはこちら
→集客 > Google広告 > キャンペーン
その結果がこちら。
※他のCVアクションでは計測ができていたためCV件数が0件なのは計測不備ではない。
この結果からも分かるように、どんなにエンゲージメントビューコンバージョンが発生していたとしても、よりハードルの高いクリックベースでコンバージョンがほとんど獲得できていないのであれば、コンバージョン獲得に貢献しているとはいえないという結論が導き出される。
ここでこのような反論があるかもしれない。「コンバージョン獲得には直接貢献していないかもしれないが、認知獲得には貢献していて間接的にコンバージョン獲得に貢献しているのではないか?」
果たしてそうなのか?
認知獲得の計測はアシストコンバージョンで計測する
コンバージョン獲得の効果測定と同様にクリックベースで計測を行う。その理由は同様にアクションのハードルが高く、検索広告・ディスプレイ広告と同じクリックベースで比較が行え、CTAボタン遷移後のランディングページを閲覧したという視覚的要素も材料として加えられるから。
アナリティクスで確認するレポートはこちら
→コンバージョン > マルチチャンネル > アシストコンバージョン プライマリディメンション:Google広告 > Google広告キャンペーン
このデータから読み取れることは、動画広告に認知獲得の効果があるのであれば、アシスト指標としてアシストCV数がカウントされるはずであり、アシストCV数として計測されないのであれば、認知的貢献度もないという結論がここでも導き出される。
ここでこのような反論があるかもしれない。「いや、動画を視聴したことにより認知度向上には貢献しているのでは?」
果たしてそう言えるのか?言えないと思う。その理由は検索広告や動画広告と比較してクリックベースのアシスト貢献度が低いのであれば、それよりも曖昧な認知度向上に貢献していると考えるのは難しい。そもそもそのような認知度向上に貢献しているのであれば、アシストとしても指標が付くと考えるのが普通だろう。
まとめ。
たとえGoogleが公式に出している情報でも疑いを持つべきであるし、アクションキャンペーンのCVRがこんなにも高いというデータを見せられても、そこにまず違和感を感じるのが普通であるし、そうでなければならない。
YouTube広告に扱った専門書では以下がおすすめ。