ビュースルーコンバージョンとは、バナー広告は目にしたがクリックはせずに、後にコンバージョンに至った場合、その目にしたバナー広告に対して貢献度が割り当てられる計測のこと。
なので、ビュースルーコンバージョンはGoogle広告に限定された機能ではないけど、このブログ自体がほぼGoogle広告またはYahoo!プロモーション広告に限定しているため、ここでも同じくGoogle広告に限ってのビュースルーコンバージョンについて言及していく。ちなみにYDNでは、ビュースルーコンバージョンはコンバージョンとしては計測はできない。また、一般的な概念だけでなく、リスティング広告の運用的な側面からビュースルーコンバージョンの取り扱い方を述べていきたい。
というのも、結論からいって広告運用という側面上、「成果が出ている」ことをクライアントへ見せていくことは重要であり、ビュースルーコンバージョンは、リスティング広告でこんなに成果が出ていますよと伝えることは、リスティング広告の継続率も含めて大きな役割を果たす。まあ、継続率は置いといて、成果を報告する上では、それが意味のある貢献を果たした広告であるのならば、クライアントへ伝えるべきなのではないか。ましてそれが推測ではなく、正確に計測できているものであればなおさらだと思う。
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ビュースルーコンバージョンとは
ビュースルーコンバージョンは、バナー広告を目にしたがクリックはせず、後に有料広告以外の経路を辿り、コンバージョンに至った場合に貢献度として[すてのコンバージョン]にカウントされる。ビュースルーコンバージョンは検索広告の計測は対象外となっている。もっとも、それが記憶に残っているか否かが、検索広告とバナーでは大きく異なるので当然のこと。バナー広告では、ユーザーに印象を残した上で、後にバナー上に記載された記憶に残っている文言を検索することはよくあることだ。
確かに、検索広告でもタイトルに表示された社名や商品名などが記憶に残り、後に自然検索経由でコンバージョンに至る場合もあるだろうけど、その割合はバナー広告と比べるとずっと低い。また、認知に貢献しなかったとしても、自然検索でコンバージョンに至る前に、検索広告が表示されることが多い。この両者を明確に分離することができれば、検索広告でのビュースルーコンバージョンも意味があるかと思うけど、それができないので、ビュースルーコンバーションはバナーに限定するのは当然だといえる。これを考えれば、そのバナー広告を目にしなかったらという反実仮想を考慮した上で、どの程度、ビュースルーコンバージョンに価値を置くかが枢要なのではないか。
ビュースルーコンバージョンのカウントの仕様
バナーを目にし、その後、Google広告以外の経路でコンバージョンに至った際は、その最後に目にしたバナー広告に対してビュースルーコンバージョンとしてカウントされる。逆にバナーを目にしたけど、Google広告経由でコンバージョンに至った際は、ビュースルーコンバージョンとしてはカウントされない。
バナービュー | バナービュー | 自然検索 | CV |
◯ |
バナービュー | バナービュー | 検索広告 | CV |
◯ |
コンバージョン | すべてのコンバージョン | ビュースルーコンバージョン | |
計測パターン ➀ | 含められない | ◯ | ◯ |
計測パターン ⓶ | 含められない | ◯ |
ビュースルーコンバージョンの計測期間
デフォルトでは[1日間]の計測となっているため、アカウントに対して適切な計測期間へ変更する必要がある。よく、ビュースルーコンバージョンの計測を正しく重み付けするために、計測期間を[1日間]へするべきだという人がいるが、「重み付け」と「計測期間」との相関性について理解が及んでいない。むしろ、これは計測すべきものが計測できないだけであって、計測対象となったビュースルーコンバージョンの質については全く変わっていないことに気付いていない。
なぜなら、ビュースルーコンバージョンの意義は、そのバナー広告がなければコンバージョンに至る可能性が限りなく低いことを前提にした上で、成り立つ計測であるので、計測期間をただ短くすることは、ただ単に計測対象となるべき対象が外れることを意味するから。広告を見たその日の内に、コンバージョンに至る可能性が高いのは、どのケースでもいえることであり、だからといって計測期間を[1日間]へ変更する理屈が私には分からない。以上を踏まえた上で整理すると、ビュースルーコンバージョンの計測期間を設定するにあたり、まず考えることがあり、それを考慮した上でビュースルーコンバージョンの計測期間を設定する。
- 認知させずともCVに至る可能性の有無
- 計測期間の設定の考え方
そのバナーを見なければ検索、もしくは来店する可能性が限りなく低いかどうかを考え、限りなく低いのであれば、ビュースルーコンバージョンの計測には意味があるし、可能性があるのであれば意味はない。例えば、「比較的マイナーな地域での大学受験の申し込み」に対してディスプレイ広告でリーチをかけているのであれば、ビュースルーコンバージョンはあまり役に立つ指標ではなくなる。なぜなら、そのバナー広告を目にしなくても、申し込みに至る可能性は十分にあると考えられるから。
「ビュースルーからコンバージョンに至る期間」と、「クリックからのコンバージョンに至る期間」は相関性はあるので、コンバージョンを正しく計測するにあたり、「クリックからのコンバージョンに至る期間」を基準に、ビュースルーコンバージョンの計測期間を設定する。
繰り返すが、ビュースルーコンバージョンの計測期間を削ることは、計測の精度が劣ることを意味する。なぜなら、計測期間とCVの質は関係がないから。はじめに説明したように、ビュースルーコンバージョンとは、ラストクリックが広告経由なのか、それ以外かのアトリビューションの話であるので、そのアトリビューションを短くすることと、ビュースルーコンバージョンの計測精度は関係がないから。
ただし、ビュースルーコンバージョンの計測期間を短くすることに意味があるとすれば、「1」を考慮した場合。つまり認知させずともCVに至る可能性がある場合、少し表現を変えれば、バナーの認知の影響度が不明瞭な場合には、ビュースルーコンバージョンの計測期間を短くする方が、ビュースルーコンバージョンの貢献度をより正確に計測することができる。計測期間を短くすることで、バナー表示とCVアクションとの関連性の確率は上がるとの仮説を設定することができるから。
認知させずともCVに至る可能性 | 高い | 低い |
ビュースルーコンバージョンの計測期間 | 短く設定 | 同一もしくは長めに設定 |
ビュースルーコンバージョンのレポート
Google広告のレポート機能を使えば、視覚的に分かりやすく作成することができる。注意点としては、デフォルトでは[すべてのコンバージョン]で集計されていしまうため、フィルターで該当のコンバージョンに限定する必要がある。
種類 | 行 | 列 | フィルター |
棒グラフ | 月 | ビュースルーコンバージョン | 該当コンバージョン(すべてのコンバージョンは除くため) |
ビュースルーコンバージョンの活用事例
ディスプレイ広告の潜在的な貢献の判断
ビュースルーコンバージョンとは、自然検索経由(Google広告以外の経路すべて)でコンバージョンに至った場合にカウントされるものであるので、これは再検索時に検索広告としての経由も見込めることを意味する。したがって、ラストクリックとして貢献はしていないが、認知として貢献しているディスプレイ広告の見極めとして利用できる。そのため、ビュースルーコンバージョンの配信ボリュームを増やせば、コンバージョンの増加が見込める。
≫ Google 広告 ヘルプ -関連リンク-
・ビュースルー コンバージョン計測期間
・コンバージョン トラッキング データについて
・計測期間について
・TrueView アクション広告のアトリビューションを改善