2025年1月16日付近から検索順位チェックツールのGRCで Google:ERR(KH) のエラーが表示されるようになった。これはGoogle検索結果に対する順位取得を目的としたスクレイピングを弾くための処置であり、つまり人間ではないプログラムで実行された検索を排除する狙いがある。
参考:ERR(KH) と表示されます。 – GRC SEOツールラボ公式
目次
Google:ERR(KH)が表示される根本的な背景
Googleの理念と反する行為
Google検索を行うとGoogleのサーバーに接続されるため、当然ながらサーバ側に負荷が発生し、検索ユーザー側にとっては課金が発生することはないが、Google側はその処理のためにコストが発生する。個々1件あたりの検索に対しての処理は大したことはないが、検索順位チェックツールのような大量のキーワードを順位取得のために処理をすることはGoogle側にとって何の利益ももたらさず、そもそもユーザーファーストの理念とも全く反する。
Google の使命は、世界の情報を整理して誰もが便利に利用できるようにすることにあります。https://www.google.com/intl/ja/search/howsearchworks/
クラウドの二酸化炭素排出量の抑制
またGoogleの理念と同様に大きな背景として近年の環境問題への取り組みによるものである。検索をするユーザー側は意識したことはほとんどないかと思うが、検索に対するクラウドの維持管理には膨大な二酸化炭素が排出されている。昨今の生成AIの発展も兼ねてさらに近々で対処すべき問題になってきているからだ。これに対して「GRCで順位が計測できない」と騒いでいる人達は近視眼的になりすぎていると思うし、この環境問題に対する背景を理解すべきだと思う。ゆえに、Googleの検索順位チェックツールなどは二酸化炭素排出の抑制の一環ともいえ、当然ともいえる処置といえる。
気候変動に対する世界的な懸念が高まり続ける中、組織はサステナビリティに向けた取り組みを進めることが必要不可欠です。その際、企業がポジティブな影響をもたらすことができる重要な領域の一つが、クラウド上の二酸化炭素排出量の削減です。
クラウドにおける二酸化炭素排出量の管理: 実例 – Google Cloud
ファーストパーティデータへの回帰
このような理由からGoogleはユーザーに対して「検索結果順位」というデータをユーザーに渡さないということを意味しない。むしろ掲載順位のデータは昔からSearch Consoleで提供されていたし、最近ではSearch ConsoleのデータをBigQueryにエクスポートできるように改善を図るなどユーザーの利便性を高めてきた。そのため、Googleとしては掲載順位のデータを受け渡しを拒絶しているのではなく、反対に寛大にユーザーにデータを提供しているのが実際の流れとなるのだ。これに対して、Googleの検索に対する理念や、環境問題への配慮から、サードパーティツールによる自動スプレイピングは排除しているだけであって、ユーザーを困らせる意図は全くない。
BigQueryとLooker StudioでSearch Consoleのデータを可視化しよう
Search Consoleだけでも掲載順位の確認は可能ではあるが、いくぶん視認性が落ちるため、Looker Studioを利用する必要がある。また、大量のデータを扱い高レスポンスが必要であればBigQueryも必須になってくる。Googleとしては「Search ConsoleとBigQueryの連携も可能した。データを自由に扱って構わない。」という寛大な処置がとられているため、それを活用していくというのが今後の正統な流れになることは間違いない。 また、Looker StudioもBigQueryも無料で使うことができる(BigQueryに関しては無料枠を超えたとしても非常に安価である)。
まとめ:Googleのメッセージを受け止めよう
検索順位チェックツールが動かないとただ騒ぎ立てるのではなく、その背景を理解することが重要だと思う。個々個人の目先の利益ではなく、全体的な環境問題への配慮があること。それに全員で取り組まなければならないということを意識していかなければならない。
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