
インハウスプラスというWEB広告レポート作成ツールの使用レビューについてと諸々広告レポートについて解説する。
結論からいうと導入して正解だった。実現したい用途を満たすことができ、問題も全く起きなかった。諸事情があり使用期間は半年間ほどであったが、今後も機会があれば使用してみたいし、広告レポーティングツールの選定で悩んでいるのであれば1つの候補としてお勧めできるツールだと思う。
広告レポーティングツールの選定で悩む原因として挙げられるのは、その実現したいニーズを満たしてくれるには、どのような環境を構築すればよいのか分からないというものが多い。だから不必要な高機能というよりも無駄な機能がある広告レポートツールを選定してしまい、結局その無駄な機能は活用しきれなかったというケースもよく聞く。重要なのは、その広告のレポーティングに必要な機能が最低限備わっていればいいだけのこと。ただ広告レポートツールの営業担当者は、その自社のレポートツールの営業であるので本当は他社のレポーティングツールの方が適していてもアドバイスはしてくれないし、そもそも広告レポーティングツールの選定で悩んでいるのと同等レベルで広告レポーティング環境について詳しくないことも往々にしてある。そのため広告レポートについて簡潔なアドバイスがもらえないことも少なくない。
目次
Excelはもう古い!LookerStudioでの自動化が主流
今はもうどのような環境であれExcelで広告を作成しなければいけない理由はほぼなくなってきていると思う。ニーズを満たすのであればどのような環境でも問題ないのか?私はニーズを満たすことができればどのような方法をとっても良いですよみたいな誰も敵をつくらないような見解はここでは述べない。データを出力して手動で張り付けなど無駄な作業でしかないし、ここを自動化できるツールであっても、rawデータから関数で値を引っ張ってくるやり方自体が多くのエラーを抱える原因にもなるため、あえてExcelを使う意味はないと考えている。あとはLookerStudioを選択肢から外すのはツール選定者がLookerStudioを覚えたくないという内心もあるのではないか。
インハウスプラス x LookerStudioで実現するダッシュボード構築
今回の広告レポート・ダッシュボード構築の要望としては単純にLookerStudioで可視化ができればよいというものであったため、そのニーズが実現可能であり不要な機能が付いていないツールを選定した。インハウスプラスを選んだのは以前より導入してみたかったのと、単純に媒体とのAPI連携を提供してくれれば、そのほかについては特に機能としては特に不要であったため、これを満たすのはインハウスプラスくらいしか選択肢として挙がらなかったから。
Google広告と同じく他の媒体においてもLookerStudioで可視化ができればいい。そのためには媒体とAPI連携する必要があるが、自身で開発するのは困難であるし、ツールを導入して済むのであればそれでいいのではないか。インハウスプラスはこれが簡単に実現できるので、Yahoo!広告などもLookerStudioでGoogle広告と同じように扱うことが可能になる。
また、BigQueryにデータを蓄積する必要性について見解を述べると、必要性がなければ広告データをBigQueryに蓄積する必要はない。媒体に直接アクセスしてデータを抽出して可視化することで要件を満たせるのであれば、BigQueryにデータを蓄積する必要はない。あと、BigQueryにデータを蓄積するデメリットとしてストレージ料金と分析料金についても考慮が必要になる。特に分析料金に関してはLookerStudioとBigQueryを連携した場合、可視化に必要なSQLが多く発行されることがあり、当初に想定よりも多額のコストが発生するリスクがある。そのため媒体からデータを抽出する分にはコストはかからないため、わざわざBigQueryからデータを抽出する必要がなければその必要性はないというわけ。
LookerStudioによるダッシュボード構築に必要なスキル
インハウスプラスのツールにはそのまま活用できる広告レポートのサンプルが付いてくるが、完全に0からカスタマイズすることもできる。そのためLookerStudioの知識が何もなくともそのまま使えてしまうが、レポートのテンプレートがそのまま要件を満たすことはあまりないと思うので、0からダッシュボードを構築できるスキルは持っておいた方がよいかと。それにこのインハウスプラスのツールは他の広告レポーティングツールとは異なり、ツール独自の仕様について覚えることは全くない。API連携でデータを取得してLookerStudioで可視化をおこなっているため、覚えるべきスキルはLookerStudioのスキルとなる。そのため、ツールに依存したスキルとはならないため無駄になることはない。またLookerStudioのスキルはそれはそれで必要になるが、ダッシュボードの構築にあたってビジュアライズのスキルも同様に必須となる。これは先天的な美的センスによるものが大きいものの、学習して修正できるものでもあるためビジュアライズの基礎スキルはLookerStudioのスキルの前提となるものでかなり重要となる。ダッシュボードとは何かという点では最近出版された『ビジネスダッシュボード設計・実装ガイドブック』。ビジュアライズテクニックについては『Google流資料作成術』がかなり参考になった。
LookerStudioの必要なスキルを事細かに挙げれば切りがなくなるため、必須のスキル2つだけ取り上げる。
1.結合処理
これは媒体同士の指標を結合させ全媒体の合算レポートを作成する際や、BigQueryやスプレッドシートと連携に必要になる。LookerStudioで表示させたいディメンション全てを結合させる必要があるが、必要性の有無に関わらず「日」・「週」・「月」・「曜日」で結合を行う。ここで細かい結合処理の解説は割愛するが、エラーが生じないように関数などを利用して値を整形して結合することになる。
2.カスタムディメンション・カスタム指標
レポートに表示させたいディメンション・指標はどのBIツールでも共通してある機能であり必須スキルでもあるが、「計算フィールド」でディメンションをカスタマイズして作成することができる。例えばディメンションであれば、検索広告やディスプレイ広告などの配信タイプを束ねたディメンションをCASE文やIF文でグルーピングして独自のディメンションを作成する。Google広告とYahoo!広告を合算した指標を表示させたければ、双方を足した指標を作成する。