[書評] コンバージョンを上げるWebデザイン改善集

[su_quote]実務に役立つTipsやGoogleアナリティクスを活用した改善戦略を解説[/su_quote]

本書はWebサイトを改善するにあたって個々のサイトの事例を用いながら改善施策のBefore/Afterを解説している体裁となっている。

結論から言うと非常に良書であり職種がなんであれWebサイトのCVRの改善に課題を抱えているのであれば有益な知見が得られる内容となっている。もう少し補足するとWebサイトの改善Tipsを扱った書籍はこれまでありそうでなかった分野であり、Webサイトの改善にあたって「仮説」と「施策」のアイディアを豊富な事例と共に解説がなされている。

『コンバージョンを上げるWebデザイン改善集』のここが凄い!

売り上げが低いのはサイトの見栄えが悪いから?

中々コンバージョンが上がらないのは、果たしてサイトの見栄えが悪いからだろうか?このような問題を抱えているのであれば、最もとってはいけないアクションは「サイトリニューアル」を検討することだろう。確かにサイトの見栄えはCVRに影響を与えているのかもしれないけど、その見栄えが悪いサイトでも良い箇所はあるものだし、仮にサイトリニューアルをしたところで、同じように「良い箇所」もあり「悪い箇所」も出てくる。このように一発勝負で「サイトリニューアル」をおこなうことは、「何も考えていない」ことと同義だと思う。

もう少し補足すると「サイトリニューアル」以外でサイトを改善する思考の引き出しがないので「サイトリニューアル」しか考えられない状態となっている。一言でいえばあまりにも短絡的すぎる。見栄えが悪いサイトでも、果たしてその見栄えが本当に影響を与えているのか何も検証しないでサイトリニューアルを検討するというのは、言い換えれば「サイトの改善」は「サイトリニューアル」といっているようなものなので、ちょっと他の選択肢があるということを知った方がいい。

読了の満足感は「Googleアナリティクス」の書籍以上!

Googleアナリティクスの書籍を読んで毎回思うこととして、大して役に立たない記述で占められており、ただの文字列を読んでいるような感覚で何の施策にも活かせないと感じることが多々ある。例えば「オーガニック経由のCVRが高いのでSEOを強化しましょう」など大枠で語りすぎな面があったり、ただデータの見方が解説されているだけで「だから何?」と感じざる得ない記載があまりにも多すぎる。

正直なところアナリティクスの本をいくら読んだところで、サイト改善まで施策実施のアクションをとれる人は数少ないのではないか?その理由は、そもそもアナリティクスを使ってデータを見るのもそうだし、さらに施策を実施する上でもそうだけど、まず「仮説」ありきであり、まず仮説を立てた上でデータを見るから検証ができるわけで、いきなりアナリティクスを眺めても何も生み出すことはできない。

本書は仮説の引き出しが数多くあり、それは普遍的に活用できるものであるので、繰り返し読むことであたかも自身の経験値としてサイト改修のアイディアが身に付けることができる。それが本書を読むことで得られる最大のメリットなのではないか。

サイト改善の豊富なアイディア得られる!

「一見問題なさそうなサイトであっても、サイトを構成する個々の部品の合算でCVRを高めることが可能であること」。これが本書を読んだ上で改めて感じたことであり、Webサイトの問題点を検証することは、WebマーケティングにおけるCVRの改善における重要なパーツだと再認識することができた。

本書はサイト閲覧ユーザーの心理面の解説から、CVRを改善するためのWebデザイン、ユーザビリティを向上させるサイト構成の部品(フローティングバナー、モーダル、アコーディオン、ページ内アンカーリンクなど)の解説、サイトの問題点を洗い出すためのヒートマップツールの活用方法まで多くの参考になる記載があった。今後も本書を大いに活用していきたい。

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