広告オークションではまず、広告が検出されるという意見を聞くことがあるが、私の見解では、ユーザーが検索をかけるとまず「広告」ではなく「キーワード」が検知対象となるというのが回答になる。この件に関して、改めて広告オークションについて私の見解を詳細に解説する。なおここでいう広告とはテキスト広告を指す。
初めに結論をまとめるとGoogle広告におけるオークションの仕組みでは、まずユーザーが検索をかけると、システムはまずキーワードを探しにいく。つまりは、まず設定したキーワードが検出される。さらにいえば、広告のトリガーとなるのはキーワードであり、広告ではない。また、検索クエリのターゲティングにも広告は使われることはない。
Googleが公式に運営している「Skillshop」にて結論が書かれているため、まずそちらをそのまま引用する。
「シティサイクルの購入」という検索です。
ステップ 2: オークションが開始される
Google の検索エンジンによって、ひろ子さんのものを含むすべてのキャンペーンの広告グループ内で、ユーザーの検索語句「シティサイクルの購入」と一致するキーワードがないか検索が行われます。広告グループを作成する際、広告主は各自でキーワードの入札単価を設定し、広告がクリックされたときに支払う金額を指定しています。こうしたオークションは、検索が行われるたびに発生します。
ステップ 3: Google 検索エンジンが、すべての広告をランク付けする
すべての広告がランク付けされると、広告主の入札単価と検索結果に対する関連性に基づき、どの広告を表示するかが検索エンジンによって判断されます。関連性がないと判断されると、広告は表示されません。Skillshop > Google 検索広告の有効性 > 2. Google 検索キャンペーンの基礎をマスターする > 広告がユーザーに表示される仕組み
また、以下にGoogle広告ヘルプから、検索語句はまずキーワードを探しに行くことに関する根拠となるセンテンスを引用する。
上記の記載の通り、検索クエリに対する広告の掲載可否を決めるのは広告ではなくキーワードである。また検索クエリのターゲティングに使われるのもキーワードである。広告は設定キーワードに反応した検索クエリの中で、そのクエリとの関連性の高い広告が選択されるだけであり、新規で検索クエリを見つけにいくことはできない。
まとめていえば、広告はトリガーとなったキーワードが決定された後に、広告グループの中で広告ランクの高い広告が表示されるということがいえるくらいだ。また、広告よりも先にキーワードが検出されることについては、ヘルプページに記載があり、以下のヘルプが「広告オークション」について書かれている代表的なページとなる。
読解力が乏しければ、「広告がすべて検出されます」の箇所のみを読み取り解釈してしまうだろうが、修飾語が広告にかかっていることを見逃している。
「キーワードが設定された広告」とあるので、まずキーワードありきとなる。この文面にある「キーワード」というのは、もちろん広告に含まれるキーワードではなく、設定したキーワードのことである。
一言でいえば、上記のヘルプページは「広告オークション」について扱ったものなので、キーワードがまず始めに検出されることは、わざわざ書いていないだけ。
以上の解説から、設定キーワードが検出された上でそこから広告の順番となることは明らかだ。これはシステムがユーザーにとって適切な広告を探し出すためにも、合理的な手順なので至極当然のことである。仮にキーワードが広告の絞り込みに使われることがないとしたら、まず始めに広告は何を基準にユーザーの検索クエリに対して絞り込まれるのだろうか?繰り返すが、言うまでもなくそれはキーワードであり、これについてGoogleは明確に回答を出しているので、くどくなるが別のヘルプページから引用する。
キーワードがまず始めに検出されることは明確であり、広告が先に検出され検索クエリに対する広告の掲載可否が決まるということがあり得ないのは、上記のGoogleの回答から自明の理だ。さらに、設定キーワードが広告オークションにおいて基準となる仕組みは、以下のヘルプページで詳細にそのオークションの過程が説明されている。
・Google 広告アカウントの類似キーワードについて -Google 広告 ヘルプ
上記のヘルプページを読めば分かる通り、設定したキーワードが広告掲載を決定する基準となることが分かるし、さらに下記文面から、まずオークションへはキーワードが検出され使われることは明らかとなる。なぜなら、まず広告を初めに見つけにいくのであれば、以下で言及されている「優先順位」は意味のないものになってしまうからだ。
広告オークションの仕組みを誤った形で読み取り、広告を基準に考えると、同じアカウント内に同じもしくはほぼ同じ広告が存在する意味はないという間違った方向に進み、結果成果の出せないアカウント構成が出来上がる。正しくは、キーワードが検索クエリに反応するので、同じ広告であってもアカウント内にいくつも存在する意味はあるし、そのような構成にすることは下記、公式ヘルプページでも述べられているように推奨されていることだ。
目標到達プロセスの上流向けや下流向けのキーワードなど、ユーザーの購入経路に対応させたり、コンバージョン単価や利益率、収益性などの成果目標に合わせてグループ分けしたりすると効果的です。製品ライン、ブランド、地域といったビジネス構造別にキーワードを分類する場合もあります。
多くの場合、キーワードはキャンペーン単位でグループ分けします。その方が予算を効率的に管理できるためです。特に予算の制約がある場合は、重要度の高いキーワード群のクリック数やコンバージョン数を最大限に高められるよう、アカウント構造を工夫しましょう。ビジネス目標に合わせてキーワードを選定する > キーワードの選定や管理は総合的なビジネス目標を念頭に行う -Google 広告 ヘルプ
まとめると、広告オークションでは、まず広告が検出されるというは間違っている。正しくは、まずキーワードが検出される。広告が登場するのは、トリガーとなったキーワードが決定されたあとになる。そこから広告グループ内で広告ランクに基づき広告の選定が行われる。