マッチタイプはどのレベルで分けるのが適切か?
マッチタイプは広告グループで分けて管理することが、そもそも前提として議論されているようだし、そのようなアカウント構成を採用していることが多いだろう。だが、私はまずマッチタイプを広告グループで分けて管理する妥当性について疑問を感じ、今に至っては、広告グループよりも上のレベルである、キャンペーンで分けて管理するのが理にかなっていると考えている。
広告グループはマッチタイプ毎に作成 -2016年までこの方法を選択
私はマッチタイプ毎に広告グループを分けて管理している。
例えば、絞込部分一致の広告グループには、完全一致の広告グループで登録したキーワードを完全一致として除外設定する。
こうすることで、絞込部分一致の広告グループで完全一致の広告グループで拾うべきキーワードを拾うことは避けれる。
部分一致でも同じく、絞込部分一致の広告グループに登録してあるキーワードを絞込部分一致として除外設定をする。
こうすることで、部分一致の広告グループでは、絞込部分一致の広告グループで拾うべきキーワードを拾うことを避けれるし、新たなキーワードのみ拾うことが可能になる。
キャンペーンはマッチタイプ毎に作成 -2017年からこの方法を選択
後で説明する「検索意図」によるグルーピングを適応するのであれば、1つのキャンペーンの中で、全てのマッチタイプを管理してはならない。
AdWordsにせよ、Yahoo!プロモーション広告にせよ、管理画面を開くとキャンペーンがまず並ぶ。
これが非常に重要なポイントになる。
この状態でキャンペーン毎に比較検討ができる状態でなければならない。
まず、この状態で比較ができなければ、キャンペーンレベルでの比較を捨てることと同じことになるからだ。
比較を行うには、同類のものかつ、不純物を取り除いた上で始めて比較が可能になる。キャンペーンの中に、完全一致・絞込部分一致・部分一致で拾ったクエリが1つにまとめられてしまうと、キャンペーン間で正しい比較ができなくなる。キャンペーン内に異なる検索意図が混在しているからだ。
1つのキャンペーンの中に異なる検索意図が混在していると、一体何と何を比較しているのか分からない。
このように考えると、1つのキャンペーンの中に、完全一致・絞込部分一致・部分一致のマッチタイプを混在させた状態でキャンペーン間の比較など、いかに不毛かに気づくだろう。
誰もこの点に疑問を感じないのだろうか?
2単語のキーワードは完全一致と絞込部分一致で検索意図はほぼ変わらないかもしれないが、1単語の完全一致と絞込部分一致は大いに異なる。部分一致はさらに異なる。
したがって、1単語のキーワードの場合は、キャンペーン単位で完全一致・絞込部分一致・部分一致と分けて管理するのが望ましい。
広告を基準として広告グループをまとめるとPDCAが回せなくなる
広告を基準に広告グループをまとめてしまうとPDCAが回せなくなる。広告のA/Bテストを検証しやすくするために、広告グループをまとめる方法があるようだが、この方法をわざわざ取る必要はない。そもそも広告の優劣はフィルターやラベルで管理しておけば、A/Bテストは行える。各広告グループに広告が分散されていたとしてもだ。
何を基準にアカウントを構成するのか?
「検索意図」と「広告掲載順位」の、この2つを基準としてアカウントを設計する。
検索意図
検索連動型広告の本質は、ユーザーが検索をかけたキーワードを扱うことだ。広告のA/Bテストではない。
広告の優劣はあるだろうが、それは最後の出口での話であって、最初の入口ではない。最初の様々な検索キーワードを広告が同一だからといって1つの広告グループにまとめてしまうと、入口の検証が行えなくなる。言い換えれば、本質の検証ができなくなる。
つまり、完全一致・絞込部分一致・部分一致で拾う検索クエリの検索意図は異なるはずであり、それはキャンペーン単位で分けて管理する。
2単語の場合は、完全一致と絞込部分一致で分ける必要はないかもしれないが、1単語の場合は、完全一致と絞込部分一致の検索意図は異なるはずなので、キャンペーンを分ける。
検索意図(マッチタイプ)をキャンペーンを分けた結果、キャンペーン単位で、どの検索意図で成果が上がりやすいかが、CV・CVR/直帰率で直観的に判断しやすくなる。
仮に、1つのキャンペーンの中に、完全一致・絞込部分一致・部分一致を全て登録してしまうと、正確な検証が行えなくなる。
例えば、キャンペーンのCTRや直帰率が低い場合、それが絞込部分一致や部分一致が下げているのかもしれず、その状態でキャンペーン毎の比較を行うこと事体が既に意味がない状態になっているからだ。
まして、広告が同一だからといって、マッチタイプが異なる(検索意図が異なる)キーワードを1つの広告グループに全てぶち込んでしまうと、検証どころではなくなる。
広告掲載順位
検索意図毎にキャンペーンを分けた結果、どの検索意図を持つキャンペーンに比重をかければ良いかみえてくる。比重を調整するということはイコール、広告掲載順位を調整するという意味だ。その広告掲載順位によって、結果がどう変わるのかを検証するということが重要になる。
広告掲載順位による一定のデータを取ることは非常に重要だ。そもそも掲載順位による一定のデータがないと検証のしようがない。日によって掲載順位がバラバラだと、その掲載順位によってCTRがどう変化しCVRに影響を与えるのか把握できなくなるからだ。
そのため、入札単価調整は広告掲載順位を維持するために必要であって、それ以外で入札単価を調整すること事体は間違っていることになる。
また、「広告掲載順位」をアカウント構成の基準としている理由として、同じ検索意図のグルーピングの中でも、とりわけ成果が高いキーワードがあった場合など、それをさらに別キャンペーンとして管理し、広告掲載順位をコントロールすることがあるからだ。検索意図は同じでも、掲載順位を分けたいケースが存在する。
具体的な事例としては以下の記事が参考になる。
キーワードが何位の掲載順位になっているか把握せずに、予算の消化ペースだけを見て運用しているとしたら、リスティング運用者としての大事な仕事を放棄しているのと同じだと私は思う。